一度泣くと癖になるのだろうか。
涙が後から後から止まらなくなった。

バスタブが溢れてしまうのではないかと思った。

それ程悲しみが溜まっていた。

胸が引き裂かれそうになっていた。

恋人が殺されたと言うのに涙の一つも零さない、薄情な男だと思っていたから尚更なのだろうか。


――みずほ!!

俺はみずほに救いを求めていた。

月明かりの照らす小さなバスルーム。


今日の俺はなかなか其処から上がることが出来なかった。