カフェの中では町田百合子と福田千穂が真剣に語り合っていた。

俺と有美はその背中越しの席に腰を下ろした。




小型録音機のスイッチを入れる。
それと同時にじっと聞き耳を立てる。


有美は鞄の中から手鏡を出した。

化粧する真似をしながら、二人の様子を伺う。


ドキッとした。
みずほのコンパクト越に見ていたウインクを思い出したがら……


――ヤバい。
向こうに気付かれる!?


――張れたらどうする。


――俺は女装中なんだ!

気が気でなかった。

でも二人は気付いていないようだった。


でも俺の本心では、この二人が事件に無関係である事を本当は願っていた。