カフェに戻ると、松尾有美が不思議な行動をとっていた。

物陰に隠れてボックス席を監視している様子だった。


俺はそっと肩を叩いた。

松尾有美は驚いたように俺を見た。


「驚かせないでよ!」

有美は胸の辺りを押さえていた。


俺が余りに早かったからすっかり油断していたらしい、声が裏がえっていた。




「それよりあの二人、何かおかしいんだけど」
松尾有美が指を差した席には、例の二人がいた。


「ねえ磐城君。女装探偵なんでしょう? あの二人探らない?」


――えっ!?
俺はフリーズした。