だから友達にも、苗字の鈴木から取った“鈴”で呼んで貰っているのに。 言いたくなくて渋っていると、もう一度聞かれた。 「ねぇ、名前は?」 もう会うことないだろうし…良いや…! 別にこの子にどう思われても、もう関係なくなるんだから。 「蘭子!…どうせ似合わないって言うんでしょ!」 プイッと背を向けて、私は靴を履いた。 “蘭子”って、いかにもお嬢様みたいな名前。 明らかに名前負けしてる。 私には…不釣り合いだから。 家族からしかこの名で呼ばれない。 それで全然構わなかった。