「ちょっと出掛けてくるね。」



「あら、今日はデートなの?楽しんできてね。」



デート…ではないけれど。


お母さんにはニヤニヤされてしまった。


でも、好きな人に会いに行くのは…本当だから。



「行ってきまーす!」



私は元気に返事をして家を出た。


そして。


私の家から5分もかからない中村部長のマンションへ。


中村部長の部屋の前まで来て…今更ながら緊張する。


出てきてくれなかったら、どうしよう。


拒絶されるかもしれない。


そんな不安が、インターホンを押すのを躊躇わせる。