-----隆side

今彼女のところへ戻らなければ大変な事になる事くらい俺でもわかってたんだ。

もう修復できなくなるかも知れない、だけど。

目の前で赤くなった手に息を吹きかけて身震いをするあなたを放っておくことなんかできなかった。

このときから俺は彼女に惚れていたのかもしれない。

飲み終わった珈琲の缶を自分の横において下をうつむく彼女。

「気分悪いですか?」

良い人のように振舞うけれど、俺はそんなにい良い人じゃない。

むしろ自分の彼女よりも見ず知らずの女にかまっているんだから悪い奴だろう。

彼女の顔を覗き込むと彼女のゆるく巻かれた髪の毛が顔にあたたってくすぐったかった。

「いえ。大丈夫ですよ?」

そういったあなたの顔は、とても寂しそうで。

まだ、逃げてきた彼氏の事を思っているのだろうと思うと何故だか少し苦しくなった。

「今日泊まるところあるんですか?」

一番疑問に思ったことを聞いてみる。