見慣れたボロいランドセル
見慣れた頭、背中
ゆうぴーだ。
「ゆうぴー!ちょっと待って!」
「あ、亮ちゃん!」
「はぁ…はぁ…はぁ」
「なに?さっきのことが気になってきた?」
「…いや…そうじゃなくて…はぁ…はぁ」
「なんだよ!とりあえず学校行きながら話そうぜ」
「いや!待って…!今言うから」
「なら早く言えよ!遅刻したゃうじゃん」
「僕…今日学校休むから」
「え?いや、ちょっと待ってよ!どゆこと?」
「いや…秘密…」
「それじゃ話になんないよ!」
「言わなくちゃ…だめ?」
「当たり前だろ?」
「はぁ…実はさ、家出するんだ」
「いやいや!意味分かんないし!そんなん無視できないって!止めろよそんなこと!」
「だから秘密にしておきたかったんだよ…」
「で、親は心配すんじゃないの?」
「きっと親だってその方が楽なんじゃない?僕がいなくてもきっと…」
「本当にそんなこと思ってる訳?絶対心配するって!」
「ゆうぴーに何が分かんのさ!とにかく!僕はゆうぴーを信じてるから!僕たち友達でしょ?」
「いや…そりゃそうだけどさ…」
「うん!よし…じゃあ僕はもう行くから!じゃね!」
「あ!ちょっと待って!ランドセルは持っていかない方がいいよ!その方が怪しまれないから!」
「うわっ!本当だ…ゆうぴーありがとう!」
「上手くやれよ…」
最後の台詞を聞くことなく、僕は足早に去った。

