零泊七日生活


見慣れたボロいランドセル

見慣れた頭、背中

ゆうぴーだ。

「ゆうぴー!ちょっと待って!」

「あ、亮ちゃん!」

「はぁ…はぁ…はぁ」

「なに?さっきのことが気になってきた?」

「…いや…そうじゃなくて…はぁ…はぁ」

「なんだよ!とりあえず学校行きながら話そうぜ」

「いや!待って…!今言うから」

「なら早く言えよ!遅刻したゃうじゃん」

「僕…今日学校休むから」

「え?いや、ちょっと待ってよ!どゆこと?」

「いや…秘密…」

「それじゃ話になんないよ!」

「言わなくちゃ…だめ?」

「当たり前だろ?」

「はぁ…実はさ、家出するんだ」

「いやいや!意味分かんないし!そんなん無視できないって!止めろよそんなこと!」

「だから秘密にしておきたかったんだよ…」

「で、親は心配すんじゃないの?」

「きっと親だってその方が楽なんじゃない?僕がいなくてもきっと…」

「本当にそんなこと思ってる訳?絶対心配するって!」

「ゆうぴーに何が分かんのさ!とにかく!僕はゆうぴーを信じてるから!僕たち友達でしょ?」

「いや…そりゃそうだけどさ…」

「うん!よし…じゃあ僕はもう行くから!じゃね!」

「あ!ちょっと待って!ランドセルは持っていかない方がいいよ!その方が怪しまれないから!」

「うわっ!本当だ…ゆうぴーありがとう!」

「上手くやれよ…」

最後の台詞を聞くことなく、僕は足早に去った。