「そういえば、君なんて名前なの?」 「あ…美雪です。佐野美雪。お兄さんは?」 「俺は松田千秋だよ。女みたいな名前だろ?」 照れくさそうにお兄さんは話す。 「ううん。綺麗な名前」 「美雪ちゃんもね!」 揺れる背中で、眠気が襲った。 まだ目が見える頃、雪が大好きだった。 自分の名前にある雪。 白くてフワフワした雪。 もう見る事は出来ないけど… 「あっ!」 急にお兄さんが立ち止まった。