「血…の臭い…」


胸がドキドキする。


怖い!

どうしよう!


「嫌っ!」


玄関を慌てて飛び出した。


「ももちゃん!ももちゃん!」


先程飛び出したももちゃんを必死で呼ぶが、返事はない。


怖いよ!


逃げなきゃ!


殺されちゃう!



必死に走った。

杖なんて殆ど意味なかった。


記憶にある道を、ひたすら走った。


辿り着いたのは、どこかの公園。


「どこだろう」


点字標識を探すが見当たらない。


人の声もしない。


微かに辺りが暗くなったのが分かるくらいだ。




「うぅっ……っ…」