『あのミスコンで選ばれた2人が一緒に帰る。』
どこでそんな情報が回っているのか分からないが、これから一緒に帰るあたしと、桜田門の周りには人がいる。
あたしに対しての好奇の目だとか…一目見ようと来てたりとか…
こんな所じゃ、文句も言えないじゃない。
隣で笑顔を振りまく桜田門千種が、突然こちらを向いた。
……周囲には分からないと思うが、目が合った瞬間、稲妻が走る。
なんであんたなんかと…
後悔と苛立ちがさらにあたしにおいかぶさる。
そしてコイツは飾りの笑顔をあたしに向けて、口を開いた。
「蘭麗、」
この言葉があたしの中で衝撃を走らせた。
………はぁ?
今、蘭麗って言ったよね!?
ふざけんじゃないわよ!!
なにが『蘭麗、』よ!!
気やすく下の名前で話し掛けないでほしい。
(うざったいのはわかる。でも…)
落ちつけ、あたし!!
少々引きつった笑顔になったが、「何?」と話を進めることが出来た。

