菜美はさっきから「良いなぁ」と頬杖をついてあたしに視線を送る。
そんなにいいものか?
アイツが?
「なにがそんなにいいのよ。あんな男。」
菜美をあまり理解できない。
「だって桜田門千種といるだけで、どれだけ価値が上がると思うの?」
うん…?
「つまり…貧乏が金持ちと結婚して、玉の輿♪……みたいな?」
あたしの言葉に菜美は大きく頷いた。
「ただでさえミスコンで有名な蘭麗があの人と付き合ったら一躍時の人よ。」
……考えてなかった。
だったら桜田門千種を上手く利用できたら、あたしは誰よりも地位が上がるってことだよね…?
使える…。
不意に笑みがこぼれだす。
「蘭麗…キモい。」
菜美の声はうまく遮られて、あたしの耳には届かなかった。

