問いかけると、ふるふると首を横に振る。

「あむーる」

「そっか。じゃあ、ムーって呼んでいいかな?」

こくり。と大きく頷き、どうにか涙は止まりかけていた。

しかし、なぜこんな場所に子供がいるのか。

まして、こんな子供が…。

疑問はうまれるが、子供に聞いても、わかるわけもないだろう。

とりあえずは、と思い、少女を抱え上げ、膝の上に乗せる。
「じゃあ、お兄さんが遊んであげるから、明日またおいで」
驚いたように、アムールは顔を見上げてきた。

「ほんと?」
笑顔で、問い掛けられ、思わず笑顔で頷いた。
アムールは、ぎゅっと抱き着き、膝から飛び降りた。

「あしたね。」

大きく手を振りながら走り去って行った。

その姿を、なんとなくほっとし、ルシフェルは見送った。