「ちわーっす」

「おう、お前がこんな時間からなんて珍しいな」
作業場へ向かうとノリさんはすでに作業を始めていた。

いろんなシナリオを書いているノリさんは他のシナリオもここで書いている。

漫画は俺が初めてらしく大体は小説がほとんどだそうだ。

「まぁ、色々ありまして会社クビになりました」
「クビ!?なんでいきなりクビ?」

ノリさんに粗方事情を説明すると難しそうな顔はしていたものの納得はした様子だった。

「そうか…、お前も大変だな」

「元々あまり好きな仕事じゃなかったんで未練はないんですけど、今後の生活に響くのが痛いっすね」


漫画家としての収入が無いわけではないが決して良いわけではない。

その収入もほとんどがノリさんのおかげで成り立っているようなものだし、正直頭の痛い話だと思う。


「お前今後どうするつもりだよ?」

「漫画家は続けます。ただ色んな可能性に挑戦はしてみたいと思ってます」

「可能性か…」


ゲームのキャラクターデザインやイラストレーターなどいろいろ可能性はあるが、俺の場合はそこまで万人受けする絵を描けない。

俺たちのように有名なシナリオライターと無名のイラストレーターのコラボは少なくはない。

ただ
自分の可能性に少しだけだが本当に少しだけだが賭けてみたいとは思う。

「お前が挑戦したいと思うならいいんじゃないか?俺は応援するぞ」

「頑張ってみます」

挑戦するのは自由だ。どんな結果でも受け入れて自分の糧にしていくしかない。
挑戦の中で自分の本当にやりたいことを見つけていけばいい。