スローモーションみたいだ。
そのお姉さんの手があたしの顔に当たるのを、あたしは何故か分かってる。
「…ごめんなさ…」
口からポロッと出た言葉。
アイツに殴られる時、何回も何回も謝った。
――バシッ!!
すごい音が、耳に届いた。
でも…何も感じない…。
「…!学、さん!!」
学さんがあたしを抱きしめていて、女の人は青ざめた顔をした。
「…馬鹿力…。結構いてぇよ」
背中をさすってあたしに笑いかける。
息が、できない。
喉が、閉まる。
「…が、く…さ…」
ごめんなさい。
その言葉が頭をしめる。
「嘘だって、痛くも痒くもねぇよ」
顔に当たってたらすごく痛いけどな、って、学さんはまた笑った。
そして、あたしの頭を撫でた。
「…あ…あ、ごめ…なさ…っ」
学さんに手を伸ばす、女の人。