「…あたし、本気であなたのこと好きです。前に一度会ったことあります!覚えていませんか…?」
今にも泣き出しそうな顔。
…学さんは、何を考えているんだろう。
「合コンだろ?俺はただの人数合わせ。マジだったのは俺のダチ」
「でもっ」
「でもじゃねぇよ。言っとくけどな。コイツは俺の妹じゃない」
ズイッと前に引き出されたあたし。
「!?」
が、学さん!?
「分かるだろ?俺は何もない女と手ぇなんかつながねぇ。しかも仮にも女と歩いてるときに、声なんかかけるなんて非常識だろ」
…無言の威圧…。
「俺はお前のこと、知らない。それが答え」
それだけ言って再び歩き出した学さん。
手がつながれているから、あたしも一緒に歩き出す。
「ちょっと待ちなよッ!」
「…いたッ」
肩がぐっと引かれる。
思いのほか、力が強い。
学さんは驚いた顔をして後ろを振り返った。
「…っ」
…怖…い…。
殴られる。
アイツと、同じ目をしてる。
「アンタ、学さんとどんな関係なのよ!!社会人じゃないんでしょ!?ブスがッ!」
手を、振り上げた。
無意識で目を瞑る。
力を、込めた。

