「…、よし、行くか」
「?」
あたしの前に差し出された、手。
「…」
それをジィっと見つめるあたし。
「手、繋いどこう。お前、どっかに行きそう」
学さんが静かにあたしの手を取った。
温かくて、大きくて、優しくて…。
なんだか、涙が出そうになった。
人の優しさに触れたことのないあたし。
人の温かさに気付いたことのないあたし。
学さんは、あたしが知らなかったものを、教えてくれそうな気がします。
だから学さん。
少しだけ、期待してもいいですか。
少しだけ、人の優しさと温かさに、触れてみてもいいですか。
神様、
あたしは、学さんが特別です。
温もりをくれる、温かさをくれる、大切な、特別な人です。
この、芽生えた気持ちは、
どうやったら、
形にすることができますか?

