「お前、携帯持ってる?」
携帯、持ってない。
持たせてもらえなかったから。
「…」
首を横に振る。
「買ってもらえなかったのか?」
今度は縦に。
「…そっか」
学さんはそれだけ言うと、あたしの頭を優しく撫でてくれた。
「買いに行くかッ」
「へ?」
心底間抜けな声が出る。
買いに行くって、
「携帯を!?」
「ああ。お前のヤツな」
にっと笑った。
胸が不規則に鼓動を刻む。
…な、何だ…?
何か、おかしい…。
学さんの笑顔、とっても輝いて見える。
「…はーなっ、ボーっとしてんな、行くぞ」
「ぅわ、はいっ!」
コレは、なんていう、鼓動なんだろう。
学さんについて行くこと、10分。
ついたのは、携帯ショップ。

