「…学さんみたいな人があたしなんかとは釣り合いませんよ」


心の中の穴が


自分の心ない言葉で、


広がった、気がした。





「…葉奈ちゃん」


美羽ねぇの色素の薄い茶色の瞳があたしに向けられる。


みんな。


ここにいる人の瞳は、力強い。


あたしなんかと比べ物にならないほどに、強い。


「釣り合う、釣り合わないの問題じゃないと思うの」


そっとあたしの手を取る。


温かくて、心地よかったのを覚えている。


「あたしと優もね。最初は釣り合わないっていじめられたりもしたのよ?優はあの容姿でしょ?女の子のファンが多かったのね。

あたしは今はこんな形(ナリ)だけど家が金持ちでね?お嬢様だったのよ?」


信じられないでしょ?と、美羽ねぇは続ける。


「黒髪だったの。今は茶髪だけど。優は優で女の子といっぱい遊んでいたし、あたしは恋愛対象ではなかったのよ、優にとって。

それでも、告白して付き合うことになって、優に釣り合う女の子になろうって頑張ったの。一部の女子には気に入られなかったけどね」


昔を思い出しているのかな?


美羽ねぇの表情が少しだけ緩む。


「女の子って変われると思わない?お嬢様の教育を受けていたあたしでも変われたのよ?」


そ、それは、素材がいいからだと思います!!


あたしは…


あたしは、変われないもん。


変われ、ない………。