でも、美味しかった…。
学さんと優さんが談笑している隣で、うとうとしてる。
それから何分たったか分からないけど、あたしは完全に寝てしまっていたようだ。
「…ん…」
少し覚醒した意識の中に聞こえてくる、学さんと優さんの低い声。
話を少しだけ聞いていると、優さんは今日はお店をしめてしまったらしい。
おかげで、優さんのお嫁さんに怒られてしまったって。
ホントにお嫁さんのこと好きなんだなァ。
そんなことを考えているとつい入ってきた、ある単語。
「……上内 つかさ…」
ビクッ!
無意識のうちに身体がその単語に反応してしまった。
「…は、な?」
しまった…。
学さんたちの会話が止まる。
やってしまった。
「起きてんのか?」
‘‘上内 つかさ’’
それは紛れもなく、
アイツ、の名前。
どうして学さんがアイツを知ってるの?
「……っ」
心臓がうるさい。
血が、逆流しているような感じ。