そう言った時、男の拳が飛んでくる。



「…ッ!!」



反射的に目を瞑ったその瞬間、頬に刺激を感じる。



…口の中が切れたようだ。


血の味が…鉄の味が広がってゆく。




「…っ…」



あたしは男を睨んだ。



外は真っ暗。



時間は23時。


もうすぐ、夜が明ける。