「あたしなら、全部あげられる!学が望むもの、全部!昔は身体が合えば良かったんじゃないの!?あたしは学との相性はだれよりイイって言ってくれたじゃない!!」
…昔の話だ、全部。
俺にはイマ、そんな基準は必要ない。
俺は、まだまだ、未熟だったんだ。
昔は、まだ女遊びが激しかった頃、俺はひとりで育ったような顔して、全部全部流れに乗って生きてきた。
……昔ってほど、前じゃねぇ。
葉奈に会うまでは、だった。
いざとなればどうしてイイかわかんなくて、今だって…
葉奈が苦しんでいるのに、俺はただ病院に連れていくしかできないんだ。
茜と知り合ったときは、ただただ未熟だった。ただ、それだけ。
今は違う。
未熟なのは変わらない、だけど。
流れに身を任せて生きているような、そんな生き方はもうやめた。

