何となく、期待してたよ。
「葉奈!!」
―――――学さん……。
「…お、オマエ……」
あたしは、気づいていなかった。
学さんを見て、コイツが…
震えている、様子に。
「葉奈!葉奈!!」
「がく、さん……っ!」
自分でも信じられないほど、学さんに力強く抱きつく。
頭を撫でてくれる手が、信じられなくて。
存在を確認するように、ギュウっと力を込めた。
「葉奈、車に乗ってろ」
しばらくして、学さんがあたしにそう言う。
言われたとおりにあたしは、例の物を持って自分の部屋を出た。
それから15分ぐらいして、学さんはあたしの家から出てきて…。
なにをしてたの?
アイツと話したの?
どうして、分かったの?
って、聞きたいことはたくさんあったけど、
聞けなかった。