震える指で、ボタンを押す。


「……は、」


《葉奈!!お前、何処にいるんだ!!》


…怒ってる。


当たり前だけど、そんな怒鳴る?


「学、さん…」


《どうしたんだよ!何があったんだよ!?》


学さん、あのね…


「怖くて、何もできなくて…」


《…?葉奈?》


「壊れちゃったら、なにも、分からなくて…」


《分かった。迎えに行ってやるから。そしたら、聞いてやるから。言ってみ?》


迎えに、きてね、学さん…


その思いが伝わったかのように、彼は言ってくれた。


「…あたしの、家―――、」


――ガチャ…


――――え?


玄関の開く音。


か、帰って…きた…


「が、くさん!助けて…、助けて!!」


《葉奈!?》


――タンタンタン…


足音が近づいて―――……


携帯をぎゅっと握りしめる。


助けて、助けて、助けて…