――学SIDE――




「学じゃない?久しぶり!元気だった?」


馴れ馴れしく俺の肩をポンっと叩く。


「…あ、ああ…」


「あれー?なぁに。その反応!つれないなァ。もしかしてあたしのこと忘れたの――?」


言いながら赤いハイヒールをカツカツと鳴らす。


…うるせぇな。


ケバケバした化粧に、テカテカの唇。


指の先にはド派手なネイル。


…気持ち悪い。


前まではこういう奴と付き合ってたのか、俺。


「…ホントに久しぶり。ちょっとお茶しない?」


…そう来るか。


「イヤ、遠慮する」


そういうと茜の顔が強張った。


顔に出るタイプだったのか。


「…え?どうして?イイじゃない!ヒマでしょう?」


ヒマじゃねぇんだよ。


早く、家に帰りたい―――…。


茜に背を向けて、レジで会計を済ます。


茜の視線が痛い。


「少しだけでも話しない?」


レジ袋を受け取った俺に甘ったるい声で耳元で誘ってくる。


…ウザいなァ。