――学SIDE――



俺はベッドに疲れきって再び寝てしまった葉奈の寝顔を見る。


何も映っていないような、葉奈の瞳は、怖い。


今まで恐怖を抱いたことのない俺が抱いてしまった恐怖。


何がコイツを怖がらせるのか、


何がコイツを怯えさせているのか、


俺には分からない。


いつかは聞いてみたいなって思うけどそれでもやっぱり聞けないんだ。


横で寝ている葉奈の白くて透けるような肌を手でそっと撫でる。


痛みのない肌は俺の手の流れを止めることはない。


「…ん…」


ヤバ、起きたか?


葉奈の寝顔を覗くけど、そんな様子はない。


良かった、起きてはねぇな。





「葉奈、離れてくなよ…」





葉奈の耳元に口を寄せて言う。


離れてくなよ。


守ってやるから、俺から。


ずっと、ずっと、ここにいていいから。


お前さ、自分の居場所がないって思ってんじゃねーだろうな。


ここにずっといてはいけねぇなんてこと、思ってんじゃねぇだろうな。


大丈夫だからさ。


大丈夫だから、ここにいろよ。


…分かってんのかよ?