――PLL…PLL…



《はい。こちら110番。事故ですか?事件ですか?》


「おか、さん…がっ!お母さんが!!」


《落ち着いて。お名前は?住所は言えるかな?》


「桜木…。桜木、葉奈…!住所は―――――」


《分かったわ。もうすぐそちらに警察が行きますからね。家の外に出て待っててくれるかな?》


「きゅ、救急車!救急車も…っ!!」


《…分かった。待っててくださいね》










――ファンファンファン…


ピカピカと赤いランプを鳴らして、こっちに向かってくる…、パトカー。


電話口で言われたとおり、家の外で待っていた。


とても立てる状態ではなく、座り込んで…だけど。


お父さんは未だにあの場から動いていない。


動けないんだと思う。


だって、だって―――――――――――――――………


…あれ?


どうして…どうして?



どうして、パトカーしか、来ないの?


「君が通報者の桜木葉奈ちゃんだね?」


グレーのスーツを着た20代後半の男の人があたしの前に立って顔を覗きこむ。


「……(あ、の…)……」