小さい時から謝るのが癖になっていたから、誰かの機嫌を損ねたり誰かの機嫌が悪かったりするとスッとその言葉が出てくる。


「…分からない…」


何で学さんに謝ったのかも、謝った理由はなんなのかも。


無意識に、だったから。


「葉奈。謝る事が必要な時に謝れ」


「え?」


「お前が言う『ごめんなさい』は『助けて』って言ってるようにしか聞こえねぇんだよ…」


背中に学さんの手が回ってきて、ぎゅっと引き寄せられる。


温かい、安心。


…助けて…か。


当たってるかもしれない。


「助けて」なんて言ったことはないけど。


「助けて」なんて言える状況じゃなかったけど。


本当は、本当は、言いたくて仕方なかった。






あたしに‘‘愛’’は足りない。