「…かくして、ない…」
本当のことだったら自信満々に言えるのに、
本当のことじゃないから、堂々と言えない。
「…ホントか?だったら俺の目を見てそう言ってみろ」
…いつもの学さんじゃ、ない。
直感でそう感じた。
優しい学さんでも、
厳しい学さんでも、
焦っている学さんでも、
心配している学さんでも、
あたしが知っている、学さんじゃない…。
あたしは学さんの目を見て、言う。
「何も、隠してない」
その言葉が、どれほど学さんを傷つけたか、あたしは後で、第3者の人によって知ることとなる。
学さんの目が、変わった。
…悲しそうな、目に。
やってしまった。そう思った。
また、こんな顔、させてしまったんだ。
あたしはなんて学習能力がないんだろう…。
「…ごめんなさい」
不意に出た言葉。
「…何で謝る?」
…なんで?
何でって言われても…。