「…ハァ…ハッ…」
学さんの唇が離れると、一気に酸素が入ってくる。
頭が覚醒しはじめる。
さっきあたしが思っていたことが学さんに知られたら、彼は一体どういう顔をするんだろう。
この前みたいな、悲しいような顔はもう二度と…見たくない。
あたしが、見たくない。
「…苦しい?」
「……んーん…」
あたしはベッドに寝転がったまま首を横に振る。
学さんはあたしを見て安堵のため息を漏らす。
また、迷惑、かけちゃった…。
そんなことを考えてしまうことを学さんが望んでないのは分かるけど、どうしても考えてしまう。
…学さんの手がそっと耳をふさいでいたあたしの手を覆う。
まるで、壊れものを扱うかのように。
割れものを、触るかのように。
「…葉奈」
スッと入ってきた、声。
今はきちんと選別できる。
学さんの声だって、分かってる。
「…何を、隠してる?」
…え?
突然出てきた、その言葉。
それが何を意味しているのかは、あたしが一番感じてる。