「無…理…ぃ……ハッ」


やっと出たその言葉。


言葉が出てこなくて、それを言うのにやっと。


そこまで自分のことが嫌いなんだ、あたしは―――。


自嘲気味に笑みを浮かべる。


「葉奈!?」


そんなあたしを焦った表情で見ている学さん。


…このまま、このまま―――、楽になることは許されないの?


「……うッ!…ハァッ」


そう考えれば考えるほど、喉はだんだんと閉まってゆく。


まるで、あたしの考えを応援するかのように…。


心に隙間があいていたあたしの意識を覚醒させたのは…………、


「ンゥ…!…んんぅ!」


―――唇に、温かみ。


―――さっきとは違う、優しい苦しさ。





あたしは学さんにキスをされていた。






塞ぐ程度のキスはだんだんと深くなってゆく。


あたしの口の中に入ってきたのが学さんの舌だと分かると、さっきとは違った息苦しさと、なんとも言えない痺れが襲ってくる。


でも、




離さないで―――――、




って、心の中がそんな気持ちでいっぱいになって…。


我がままかも知れないけど、そんなことを思うようになっていたことに気付いた。