「…ハッ…う…」
「葉奈!」
「ハァ…ハァ…」
「葉奈!」
学さんの声が入ってきて。
あたしは必死に呼吸を整えようとするけど、それは確実に逆効果だった。
あたしがどうあがこうと、
あたしがどう楽になろうと、
拒否反応を起こしているのは、あたしの身体。
あたしが、あたし自身を、受け入れない。
だから、嫌いなんだ。
自分が。
誰がどう頑張っても、あたしは自分を好きにはなれない。
だって、今まさにあたしは自分の身体を拒否してる…。
なんて悲しいやつなんだ。
なんて可哀そうなやつなんだ。
なんて不幸なやつなんだ。
考えれば考えるほど自分の不甲斐なさがだんだんとにじみ出てきて―――、
あたしはその考えをシャットアウトすることはできない。
アイツの顔が頭でチラチラとうろついて、
あの人の声が頭でガンガンこだまする。
学さんの、低くて優しさを含む声が聞こえているのは聞こえているのに、何を言っているのかは分からない。
「葉奈!ゆっくり息を吸え!!」
かろうじて聞こえたその言葉、意味。
それを理解するのにあたしの頭は酸素が足りていない。

