「…ゃ…」


「葉奈?」


「…やだ…」


「葉奈っ?」


「…ごめ、なさ…」


「おい!」


「ごめんなさいっ!」


「葉奈!!」


「ごめんなさいっ!!」


「いいから!ごめん、ごめん葉奈!!」


両手で耳をふさぐ。


頭の中の声が聞こえなくなるように…。


いつも、いつも、こんなふうになった時はこうやって落ち着くように頑張るのに…、


どうして今日は、簡単に引いてくれないの!?


お願い!お願いだから!!


お願いだから、楽になりたいっ!!


頬が濡れる。


何かが頬を伝って、シーツに染み込む。


あ、学さんのベッドが…。


止めなきゃ、涙を、止めなきゃ。


迷惑がかかる。


学さんにも、アイツにも、あの人にも、あたしにも。


あたし一人が傷つけば…楽になるのかと思ってたんだよ、あたしは。


つい、最近まであたしが傷ついて、泣いて、叫んで、そうすればあの人が楽になるんだって思ってたんだよ。




…でも、違った。


あたしが傷ついても、アイツは―――――、アイツは――――――っ!!