「嬢ちゃーーん、飯食べるわよーーっ!」
何分間ぼーっとしていたのだろう。
虎子の大声がリリアを現実へと引き戻す。
「はい、今行きます!」
リリアは急いで口をすすぎ、居間に戻った。
「さぁ、食べようか。こっち座んな」
虎子は座布団がしかれた蛍の真向かいを指差す。
ちゃぶ台の上には焼き魚と玉子焼き、真っ白い山盛りの白ご飯、湯気がほかほかと立ち上る味噌汁が4セット置かれていた。
模範的な日本食だ。
リリアは指し示された座布団の上に正座する。
「じゃ、いただこうかね」
虎子がいただきます!と気持ち良く合掌し、玉子焼きに箸をのばす。
蛍もそれに続き、味噌汁をズズッとすする。
「あの、もうお一方待たなくても良いのですか?」
ぽっかりと空いた空間を見つめ、リリアは尋ねる。

