「制服や教材などはこちらでご用意させていただきました。しかし、お召し物などの身の回りに関するものはそちらにお任せいたします。お金はお嬢様が持っていますので」


どうぞ、とダンボールと紙袋が渡される。


「ありがとうよ。こんだけやってくれてりゃ後はこっちでなんとかできる。あんたは安心して帰んな」


「そうですね。では、おいとまさせて頂きましょうか」


虎子に促されて立ち上がる如月だが、玄関まで来て立ち止まった。


「ん?どうしたんだい?」


不思議に思った虎子が尋ねると、


「申し訳ございません。最後にもう一度、お嬢様の眠っておられるお姿を拝見したいのですが……」


ダメですよね、と力なく笑いながら先に行こうとする如月を虎子が止めた。


「言うと思ったよ。上の廊下をまっすぐ行った突き当たりの部屋だよ」


虎子はにっこり笑って了承した。