「お嬢様はなにぶん世間知らずな方でして。これからもご迷惑をおかけすることも多々あるとは思いますが、何卒よろしくお願いします」
綺麗に腰からお辞儀をし、説明を終えた。
最後の言葉には、執事という立場以上の思いが感ぜられた。
「そんなの、あたしがこの件を承諾した時点で覚悟はできてたよ」
安心しな!と力強く如月の背中を叩く。
「っ!相変わらず、たくましくていらっしゃいますね。それより、急ではありますが明日からお嬢様には学校に通っていただきます。手続きは済んでおりますので、後のことは頼みましたよ?」
如月は虎子の怪力に少々むせながらも話を続けた。
「本当に手際がいいのは相変わらずだね。分かったよ、任しときな。学校は蛍と同じなんだろ?」
虎子が感心しながら答えた。
「えぇ。そちらの方が何かと便利なので」
如月は、手際がいいのは当たり前、と澄ました顔で受け流す。

