お嬢様、家出しちゃいます!




「そうかい。頑張ったね」


そう聞こえたかと思うと、リリアの体を優しい温もりが包む。


「うっ、ふぇ…」


途端、こらえていた涙が限界だとばかりに頬を伝って流れていく。


「怖かっただろ?でも、もう大丈夫。もう心配することはないんだからね」


虎子は優しくリリアの背中を撫でる。


そういえばソフィアもこうしてあやしてくれたな、と思い出すと、余計に泣けてしまった。


しかし、虎子の温もりがリリアの不安を全て包み込んでくれているようで、しだいに薄れていった。


それにつれて、次にリリアに襲いかかったのは急激な眠気だった。


リリアは躊躇うことなく意識を手放した。