「一応蛍(ケイ)に迎えを頼んだんだが…。どうやったらこんな遅くにやって来るんだろうねぇ?」
虎子は探るような視線を送ってくる。
(言わなければならないのね。でも、どこまで話しましょう…)
リリアは、とりあえず言えるところまでは正直に言おうと、言葉を選び選びしながら慎重に話し始めた。
「家を出て、とりあえず大通りに向かいました。最初は物珍しくて辺りを見て回っていたのですが、お宿を探さなければとお宿を探して……」
そこでリリアは言葉に詰まった。
まだ思い出すのが怖い。
手が無意識のうちにカタカタと小刻みに震える。
「で、訪ね回ってたら暗くなって、そこなタイミングよく蛍と出会ったんだね?」
リリアの気持ちに察してか、虎子は言葉を継いだ。
「……はい」
あながち間違ってもいないので、それを認める。

