「そぉんなフグみたいに膨れたら可愛い顔が台無しじゃないかぁ。でも、アイツの気持ちも察しておあげ。自分の愛娘がいきなり家出するなんて言ってきたら、そりゃ心配もするさね」
そう言いながら、リリアの頭にぽん、と手を乗せる。
とても温かくて、大きな手だった。
1日ぶりにそんな愛情の籠もった行為をされると、怒りなんてふっ飛んで目にじわりと涙が溜まっていく。
リリアは必死にそれが落ちないように目に力を入れてこらえた。
「浩太郎には、あんたにバレないように自然にうちに住めるよう手配してくれって言われたんだが失敗したみたいだね」
全然失敗に対して反省していない。
これでも、秘書だったのだから不思議だ……

