そして扉のむこうから聞こえてきた、
菜朝の大きな声。
「それは......噂でしょ?
それに笙くんがそんなことするわけないじゃん!」
...だよな。
菜朝だって笙と友達だもんな。
ここで、哀川が「だよね!」と言うと思ったが...
次に聞こえてきたのは、泣きじゃくる哀川の声。
「噂だよ...噂だけど...
ッ、笙とは...ケンカしてから話してないし...
本当に...もう笙はあたしのこと
嫌んなっちゃったんだよ...っ...
他の女の子のことっ...
すきになったんだよ....っ...」
...哀川もこんな弱いんだな。
初めて知った哀川の一面だった。
笙をふと見ると、
考えているようで、真剣な顔で
扉の向こうを見つめていた。
...笙も、お互い様じゃねーか。
なんだよ...
と思っていた。
「....ね、棚橋蓮。いるんでしょ?」
さっき話していた声よりも大きな声で
哀川が言った。
