アナタのホントは何処にある


「貴方達!」

厳格そうな怒鳴り声が聞こえたかと思うと、いかにもといった感じのつり目で眼鏡の少年が、早足で二人のもとへ近付いてきた。

遅刻者名簿らしきファイルを持っている。

おそらく風紀委員の生徒だろう。



「そんな所で何してるんですか!ホラ、早くこの遅刻者名簿に名前を……って、また貴女ですか因幡先輩」

「えっと貴方は確か風紀委員の……」

「アルフレド・バルツァーです」

「アルベルト君」

「アルフレドです」

「アルジャーノン君、“また”とは失礼ね」

「アルフレドです。今月だけで何度目の遅刻だと思ってるんですか」

「さぁ」

「八度目です」

「なんだ、まだ八回程度だったの」

「どこが“まだ”なんですかっ!“もう”八回でしょ“もう”!」

「そんなに怒ってばかりいると寿命が縮むから気を付けなさい?」

「誰が怒らせてるんですかっ!」



ニコリともせずに天然だかわざとだかわからないボケをかます女生徒と、ツッコミまで生真面目な風紀委員。

二人には申し訳ないが、啓太はそのちぐはぐ感に笑いそうになってしまう。