すっかりパンを食べきり、何故起こしてくれなかったのかと友人達を恨みつつ

「り、リコさん、助けて下さぁいぃぃ」

叫びながら走っていると、

「あれは……」

時間ギリギリだというのに特に急ぐ素振りも見せず道を歩く女生徒を数メートル先に見つける。

その更に先には、学園の校門が見えた。



確か朝のホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴り終わるまでにあの校門をくぐらなければ遅刻という事になってしまうはずだ。



入学以来無遅刻無欠席な上、悪目立ちしたくない啓太としては、そんな事態は極力避けたいものであった。

それ故、前を行くその女生徒が余裕たっぷりなのが不思議でならない。

「あ、あのー!急がないと遅刻―――…」