「あっ、あのぉ因幡先輩」
啓太は恐る恐る舞白に話し掛ける。
「何」
彼に気付いた舞白は“近付くな”オーラを緩めたが、それでも啓太は緊張で声が震えてしまう。
「め、めめめ」
「?」
「め、メイドとか興味ありませんかっっっ!」
その瞬間、図書室の空気が凍り付く。
その場にいた全員が、一斉に怪訝そうな顔で振り向いた。
冷やかな視線が突き刺さる。
「えっあっあの、べ、別に僕がそういう趣味持ってるとかじゃなくてっ」
図書室中に響く大声で必死に弁解する啓太。
しかし。
気が付いた時には、舞白は目の前から消え、彼から最も離れた席に移動していた。
仮にも“うさぴょん”という可愛いあだ名をとっている美少女とは思えない程の切れ味鋭い“近付くな”オーラを纏って。

