皆が何を勘違いしているかは知らないが、自分と因幡舞白は特別仲が良い訳ではない。
そりゃあ廊下ですれ違えば挨拶位する。
けれども、それ以上には何もない。
ただ、一応頼まれたからには、何もしないという訳にもいかない。
独り取り残された啓太は、トボトボと三年生の教室へ向かう。
途中、何故か校内で迷子になっている女子がいたが、彼女の傍には顔のよく似た兄だか弟だかがいたので、彼に任せておけば大丈夫だろうと思いそのまま通り過ぎた。
「あのー、因幡先輩いますかぁ……?」
そう尋ねた啓太に、威厳溢れる先輩が“因幡なら図書室にいるはずだ”と教えてくれた。
啓太は図書室へと急ぐ。

