懐中時計を取り出し時間を確認する。 きっかり三十秒後に、この男は“人間として”の死を迎える。 だからそれまで手を出してはいけない。 殺してはならない。 助けてもいけない。 どれだけ彼が痛みに顔を歪めていても、どれだけ彼がその苦痛のあまり死んでしまいたいと望んだとしても。 寿命尽きるその時まで、私は彼を生かさねばならない。 そして時が来れば躊躇いもせずに、奪うべき物を奪うのだ。 それが我等の掟。