足が治ってからは、
母親は今までのものを
取り返すように、


心子に
できるだけのことをし、 過保護気味だったと
言う人もいます。


一方父親は、
100点以外は
許さないほど
心子を厳しく
育てたといいます。


本当の客観的事実が
どうだったのかは
分かりませんが、


愛情が
偏ってしまって
いたことには
違いないのでしょう。


心子は父親に
異性としての愛情を
抱いていたと言います。


元々父親は、
いつ発作が起こるか
わからない心臓の病を
抱えており、


心子は父と一緒に死ぬ
という約束を
していました。

(それは客観的な
事実ではなく、
心子の中の
主観的事実でしたが、
心子にとっては
紛れもない真実でした。)

心子は父を支えるため、
明るくて
頑張り屋の
もう一人の自分を
無意識に
作り出したのです。


心子は
父と死ぬために
生きているようなもので、

本当の自分が
何だか分からなく
なってしまいました。