あれ、手…震えてる?
微かに強張ったままの広瀬の表情。
ヒロ君がこの間言いかけた言葉。
その時、やっとピン!ときた。
"泳げない"
あ、もしかして…
「広瀬、水苦手?」
そう呟いた私に広瀬はため息をつく。
「…んだよ、知ってんならこんなことすんな。」
その時の広瀬の表情を見た時、すごく悲しくなった。
めちゃくちゃ反省した。
「ごめん。私も一緒にあがる。」
私は申し訳無さすぎて、広瀬の腕を掴んで、水中の階段まで引っ張る。
すると
「待てよ。」
「…どしたの?」
「教えろよ。」
「え…何を?」
「水に慣れるにはどーすっか教えろ!」
「はい?」
いつも通りの命令口調。
だだっ子のようにその場から動かない広瀬。
まぁ、私も悪いことしたし…
「いいけど…」
水に慣れさせるって………どうすんの?

