辛口男子の甘い言葉



慌てて姿勢を正した。


「あ、はい。今日はお邪魔します。」


「いいのよ、ゆっくりしていってね。」


そんな私を見て何やらニヤニヤしているママさん。


「あの…?」


「やだぁ、2人お似合いねぇ。ヒロったら邪魔じゃないのー。」


わぁお!

ついていけない!

とんだママさんだなこりゃ。




「おばさん、ヒロは?」



広瀬は1人盛り上がるママさんの話をバサリと切った。



「今お風呂入ってるから、リビングでゆっくりしててねー。」




この2人、大物だ。



それから、ヒロ君がお風呂からあがるまで、リビングで広瀬に数学を教えてもらっていた。


「奈絃ちゃん!」

すると突然ヒロ君のお母さんが私のそばにやってきた。



「これ見ない!?」



そういって目の前に出されたのはアルバムだった。


「うわ、見たいです!!」

「え、は!?おばさんそれって…」


「ほら見て。」


開いたページにすぐ、ヒロ君と広瀬が幼稚園の入学式の時の写真が貼ってあった。

2人ともいい笑顔をしている。


彼らの両隣に1人ずつ、男の子が写っている。


広瀬…ヒロ君以外にも仲いい子いたんだね。

と、若干失礼なことを思いつつ声を出した。



「うわっ!広瀬もヒロ君もちっちゃい!可愛いー。」

「ちょ、待っ…」



広瀬は恥ずかしいのか、ママさん効果でいつもより控え目の動きでアルバムを閉じようとする。