やっちゃった…。

やってしまったよ…。




「おい、顔死んでんぞ。」


「奈絃…ッ、とうとう取っちゃったのね…。」


「え、何!?奈絃ちゃん何かあったの!?」



「この世の終わりって顔してるわね。」


「え、無視!?」


「かわいそー。」


「な、無視やめて!?なぁ!!」





ああ!もう!!



「うるさーいっ!!」


頭の上でごちゃごちゃと!


「私は勉強出来ません!!てか、バカです!赤点とりました!はい、終わりっ!!」



今日は朝から最悪だ。

この間の期末テストの結果が返されたのだ。



机に突っ伏す私にリッカは励ましの言葉を入れる。


「まぁ、今までギリギリ赤点取らなかったしね。今回の数学はムズかったって。」



「…うん……。」


「大丈夫だろ。」


「えっ…?」


いつもなら茶化してくる広瀬が言った言葉とは思えなかったものだから、聞き返してしまった。



私と目があった広瀬はビシッとヒロ君を指差して言った。



「ヒロは毎回何かの科目に赤点で引っ掛かってっから。」


「えっ、あっ、やっと無視止めてくれた…」


「ええっ!そうなの!?」

「あぁ、うん。」


…ヒロ君。

何でそんな笑顔なの…。

たった1回の赤点で暗くなる私がちっぽけに思える。


「眩しい…!眩しすぎる!!」


「何がしたいの、お前。」




目元に手をかざす私を見て、広瀬は冷たく言い放った。