[祐司side] 「先輩、わたしにも笑顔を見せてください」 微笑む“仲田姉”の声は温かかった。 金持ちの家に生まれた俺は いつも周りから「成績優秀、容姿端麗、何もかも完璧!!」「さすが宮野家の御子息ね」 なんて言われ続けて しまいには誰も“俺自身”を見なくなった。 家のことや見た目のことばかり “俺”を分かろうと 知ろうとしない 俺の心は凍りついたままだ。