仲田はそっと受け取ると
「……眼鏡かけてもダメかぁ」
ぽつりと呟いた。
俺が何のことか分からずにハテナマークをだしていると仲田がしゃべり始めた。
「私ね、小学校までは眼鏡かけてなかったんだ。
小6の秋ぐらいだったかな。いじめられてたんだ」
いじめられてた!?
「同じクラスに杵島君[キシマ]ていう男の子がいてね。顔も性格もかっこよくて、私もひそかに好きだったんだ。そしたらある日突然杵島君が必要以上に優しくしたりかまったりしてきたの」
仲田はすこし寂しそうに言った。
「私はそれが嬉しくてもっと好きになっていった。でもそれはただの遊びだったんだ。“可愛い子を何人落せるか”っていうので私が告白したら『俺、別に仲田なんて好きじゃないし』って言われた」
どんどん悲しそうな顔に変っていく仲田を見てどうしていいか分からなくなった。

